土曜日。梅雨前の空気が一時澄んで、朝から箱根の山がよく見える。午前中から小学校の授業参観があった。父兄が集まると子どもたちがグループごとに分かれて、学校の各所に案内し、その場所の説明をしてくれる。「ここは屋上です。大きな字で小学校の名前が書いてあります。山と線路が見えます。やってみたいことは…」。覚えてきた台詞をスムーズに言える子もいれば、詰まってしまう子もいる。詰まると、他の子が手の動きで促したり、耳打ちしたりして手助けをしてくれる。手出しをする親もなく、初夏の日差しの中、汗を拭きながらのんびりとした時間が流れる。子どもたちがピカピカの一年生なら、親もまた一年生の親としてはまだピカピカで、親同士の会話を交わしたり、他の子どもと絡んだりする場面でも四月の入学式のような新鮮な緊張感が残っている。子どもも親も先生も、幼稚園と比べると少し野趣のようなものが足りないような気もするけど、それは地域柄と昨今の風潮。子どもが伸び伸びと育つことにも、親や先生が人当たり良く身を捌くことにも、そのこと自体には何の咎もない。