昨日の夜から息子が胃腸炎にかかってしまった。原因はよく分からない。夕方に行った外食で何かに当たったか、幼稚園で風邪をもらって発症したか。
いずれにせよ、夜半から吐き始め、出るものが無くなっても止まらず、今日の昼まで都合三十回近く吐いていたから大変そうだった。背中の筋肉が痙攣し、喉からはあり得ない音が出て、吐しゃ物には血のようなものも混じっていた。けれどもその間ずっとつき添っていた妻によると、本人は「今回はけっこう派手でしょ」などとうそぶいて妻に目配せしていたって。僕の目から見ても、精根尽き果てて妻にもたれ掛かかりながらも、自己憐憫の罠に陥らず状況を引き受けているさまは頼もしく、見うべき姿として映る。この気構えは多分、「なってもうたもんはしゃーない」が口癖の妻のお母さんから、妻を経て口伝で伝わってきたものだ。妻は、親の言うこと(悪いものを出しているんだから、吐くことは良いことだ)をいじらしいほど純粋に信じていることの証だから気を引き締めないといけない、と言っていた。
夜は何日かぶりの晴れ。双眼鏡と三脚をもってベランダに出ると、満月に照らされて闇に浮かぶ白い富士。息子と一緒に見れる日もいつか来るだろう。