日記もこれだけ放っておくと、その日に何があったのか忘れてしまう。
この日は前の日に壊れてしまった炊飯器の代わりの炊飯器を三人で買いに行ったような。それで初めての米を炊いて湯気が上がったときに、息子が「ワー、いい匂い。なんか泣きそう」と不思議なことを言ったんだった。それで自分は金銭感覚がガキの頃から全く成長していないから、少し高めの買い物にこの日一日びくびくしていたこと、十三年前の炊飯器の時も同じ気持ちになっていたことを思い出して、自分で悩みながらお金を稼いだことのある大人なら誰でも感じたことのあるであろう隠れた小心を彼が拾ってくれたように感じ、自分の部屋に行って涙が出たのだった。