息子とお留守番をしながら、『ドキュメント72時間「飛べ!イプシロン」』を見る。先月の打上げ延期の時、人の不幸は蜜の味などと書いて笑っていたけど、飛ばなかったロケットを見に集まった人々それぞれの横顔の紹介を見ていたら、笑おうと思っていた番組なのになんだか笑えなくなってしまった。宇宙関係の仕事に就くことに夢と不安を抱きながら北海道からやってきたバックパッカーの若者、病室で知り合ったガンの少年に打上げの写メを送ることを約束したおじさん。そんな人々の話を聞くうちに雲行きが怪しくなり、見つめる彼らのワイプ画面とともに始まったカウントダウンのシーンで、息子にとっては謎の父ちゃん号泣。
期待を一身に集めるその対象が、実のところ空虚な中心であるということなんて、多分みんな心の中では分かっているんだと思う。そんなことを折り込みながらも、見も知らぬ人間が一ヶ所に集まって、それぞれに秘める何かを託しながら発した声が一点に向かってこだまする。あんなん見せられたら、この先なんぼでも泣いてしまうと思う。