昨日、僕が七桁相当のミスをして悲嘆に暮れていると、息子が一人で部屋に入ってきてこう言った。「かなちいの?そう、かなちいの?おしごとがんばったから、だからかなちいの?でもだいじょうぶよ。ぜったいにだいじょうぶ。」
今日はそんな息子の三才の誕生日。この三年間、僕たち夫婦を親として受け入れ、この家族の中で楽しくやっていく生き方を選び実践してきたくれたことにはいくら感謝してもしきれない。それは単に生まれ落ちた環境への自然な適応といったものではなくて、僕らはそこにはっきりとした決意や意志のようなものを感じていた。夫婦で話をしているとそれをじっと聞きながら、何か面白いことを考え付くとそれを口にして自らも会話に参加してくること。彼が生まれてから家に来てくれた家族、親戚含めて四十人を超える人々のそれぞれを、家族にとっての大切な人と認めて、自分なりの付き合い方を考えていたこと。沈んだり晴れなかったりする僕らの空気を変える役割を率先して果たしてくれていること。これらは全て彼の共生への堅い意志の現れとしか思えなかった。落ち込んでいる人間を引っ張っていくリーダーシップ等、もう既に彼が僕らを上回っているところはいくらでもあるけど、そんなことで目を細めているようでは親としての面目が立たない。本当について行けなくなるところまでは、僕らも負けないように必死で食らいついていくつもりだ。