空が高く見える秋晴れ。今日は昼間の休憩時間に家を出て、駅前で開かれていた物産展のようなものをのぞきに行った。日本に在住するネパール人の人たちが、会場のテントの一つで自国の食べ物や衣服、小物、装身具などを展示・販売していたのだが、そこで仕事の手伝いをしていた奥さんの友達と、そのインド人の旦那さんとご対面しに行ったのだった。手を休めて挨拶に来てくれた奥さんの友達と、ネパール人と結婚した日本人の女性は共に鮮やかな色のサリー姿。しばらく立ち話で、開店の準備が整うまでの楽しい顛末などを聞かせてもらう。インド人の旦那さんやそのネパール人の仲間は、うちらだけじゃなくて全てのお客さんに対して気さくに話しかけて、品物の説明や国の話などをしている。顔立ちは同年齢の日本人より大人びているのに、大きな目はくりくりしていて可愛く、表情なども幼い感じがする。相手の目をまっすぐ見つめてくる素姓の良さと、したたかさ(というと語感がきつくなるけど、ある種の人間的強さ)が同居したような雰囲気は、昔インドで仲良くなった中流階級のエンジニアたちを思い出させてくれてとても懐かしくなった。奥さんの友達は、話に聞いていた通りのおおらかな感じの人。彼らをエピソード交じりに紹介する言葉には温情があふれていて、彼女がその集団の一員として溶け込み慕われている様子が伝わってきた。奥さんによると、ある南アジアの外国人が日本人と結婚して日本に住むことになり、それまで国外どころか村の外にもほとんど出たことのなかった彼の祖父母が、孫が住むことになる土地を一目見ようと、はるばる日本までやってくることになった。ところが孫夫妻の家は狭くて二人がとまるスペースはなく、日本人の両親は最後まで結婚に反対していて歓迎してくれない。人との交流のないホテルに泊まるのもさみしかろうということで、奥さんの友達は自分の家に当地の香辛料などの一式をそろえた上で家を空けて数週間その老夫婦に使ってもらったのだそうだ。
ところで、今日二人で店に着いた時に知り合いということで販売品である温かいチャイーをこっそりといただいたんだけど、それを見ていた客のおばあちゃんが無料サービスと勘違いして僕らの後ろに並び、有料と分かってそそくさと背中を丸めて退散していったさまは、なんとも気の毒で面白かった。