ゲームの時間を巡って、妻と息子の間で諍い事があったようだ。
このところ論理的な力を増す息子の強弁に押され、それに抵抗することで手一杯になり、理屈の裏にある気持ちを認めてあげられないことが多いと話していた。言い負かされて何も言えないくらいなら、ママ友の一人が最近そうしたように、「バカー!!」と叫んで、せめて親としての葛藤の気持ちだけは伝えた方がいいかもと嘯いてこともある。僕もその方がいいと思う。この人と出会って26年になるけど、感情が高ぶったときでも、相手の心を傷つけてやろうという意図を感じたことがない。僕はまだ議論では負けないけど、負けるようになったら感情をぶつける言葉を探すかもしれない。そうなったときバカっていうのは蓋し素敵な言葉だ。
ドタバタと玄関から音が聞こえたあと、家の中がシーンとなった。どうやら妻は犬と一緒に外へ出たようだ。

妻とジローが散歩から帰ってきた。火花を散らした二人はその後どうなったか。
ソファーに同じ高さで頭が並んでいる。昨春に甲子園で見た明徳義塾の試合の録画を見ながら、仲直りを図っているようである。