ネットにもあまりはっきりと断定した記述はないようなのだけど、ニコンの18x70という双眼鏡、無限遠にピントを合わせて三脚に固定すれば土星の輪はきちんと見えます。「面積をもった楕円形」でもなく、ガリレオが3.8cmの望遠鏡で見た「耳たぶ」状にもでもなく、本体から切り離されたディスクとして、本体との間の空隙の闇とともに明瞭に見えます。経験上、大気の透明度が高いと本体からの光が強くなりすぎておそらくは色収差で空隙に滲み出すようなので、輪と本体を分離するには僅かに水蒸気を含んだ空の方がかえって適しているようです。輪が見えるどころかこの双眼鏡、先日目を凝らしていたら、土星の近傍に不自然に集まったいくつかの光の点を見せてくれました。土星の衛星は、もの本には「双眼鏡で見ることはできない」と書かれていたので、はっきり「見た」と断言するためには土星の暦から当日の衛星の位置を知り、また星図を参照して恒星である可能性を排除する必要があります。なかなかの面倒ではありますが、夜な夜なの気晴らしとして考えるとそれなりに楽しめそうです。ちなみにこの衛星(候補)、神奈川の自宅からは単眼ではあやしく、双眼の情報を脳内で補完してようやく認知できる最小の光の点としてしか見えません。息子の言う通り、まるでレンズについた埃のようです。