息子はこのところ『チャギントン』に夢中だが(オリジナルの絵本や、「ウィルソン」の模型まで作ってしまった)、妻が「ネコバス」やら自分の好きなシーンやらの話を身振りを交えてするうちに『となりのトトロ』にも興味を覚えたようで、晩ごはんのあとにレンタルしてきたDVDを見始める。オープニングで久石譲の「歩こう 歩こう 私は元気♪」が流れ、息子が「これ、大山ケーブルカーへ行った時、母ちゃんが歌ってた歌だね」と言う。半年以上前のことなのに良く覚えているな、と思うが、それだけ一生懸命あの参道を歩いた、ということなのだろう。記憶の風化を少しでも免れんと、こうやって家族の思い出を愚にもつかない文章に残しているけど、親子で同じ場所へ行ってもそれぞれにとって同じ体験になっているとは限らない。子どもの胸深くに仕舞われた記憶の中には、親がとうに忘れてしまったものもいくらだってあるに違いない。