そういえば、妻と付き合い始めてけっこう早い頃に行ったカラオケで「お経みたい」と言われたことがある。
遠く過ぎ去った日々。

そして今ここにある日々は、箱根山と溶け合う太陽を見つけた息子が、廊下を走って僕を呼びに来てくれる。
こんなことはそう長く続かないことが分かっているのに、僕らは二十年後もこのことを覚えていられるかもしれないのだ。
かくも有難き人の記憶。