光学系の作り出す虚像に魅了されて、去年母親からもらった小ぶりな単眼鏡を取り出し、日ごとに景色を眺めている。今日は、接近する台風の風で雲が洗われて、夏とは思えないほど澄んだ星空。
南側のベランダでいて座の球状星団M22、みなみのうお座のフォーマルハウトから北西にたどって惑星状星雲NGC7293(これは錯覚かも)、北のベランダでカシオペアペガスス座βを結ぶ線上にアンドロメダ銀河M31。
息子は一人部屋で寝ていたが、深夜1時に夫婦でお菓子を食べているときとは違って罪の意識はなかった。寝静まった町が、星の揺り籠に抱かれて北極星の周りをまわる。