新幹線、くろしおと乗り継いで和歌山のおばあちゃん家へやって来た。ローカル線とくろしおに遅延が発生し、六時間以上かかる長い道のりであったが、今日一番印象に残ったのは、車中ずっと息子を膝に抱えてへとへとになっている妻が、家に着くなり一秒の休憩も取らずにプラレールの箱を探し出して、どこにそんな力が、という勢いで線路を組み立ててしまったことだ。こういうことを褒めるとすぐに彼女は「自分のため」と謙遜するが、「あー疲れた」などと言いながら旅先の畳に寝転んで天井を見上げる、というような大人にとっての常識的な気晴らしが、ノルアドレナリンが満ち溢れた子どもには絶対に不可能だということを骨身にしみて分かっていないとああいう行動はとれない。結果、夕食の頃までには十分に遊んで満足し、席に呼ばれるとすぐに馳せ参じておばあちゃんに褒められ、本人も自信を深め、と全員がハッピーにご飯をいただける状況になったのだから完全なWin-Winだ。全ての母親がそうだとは言わないが、子ども特有の世界観から発するセンチメントに対して予期的に受け止めるという母親の能力には感服させられるものがある。
夕食後に銭湯。「おばあちゃん、おばあちゃん」と呼びかけられて、裸で奔走するママの笑顔が見られただけでも、来てよかったと妻。
さて、これといって予定の無い明日からの三日間、どうやって過ごすか。