禁煙やぶれて、横浜駅のキオスクでタバコとライターを買い、西口の喫煙所に入って一服した。炎天下、冷房もなく込みあった室内に一人、少し気合の入った半ヤンキー風情の若い男がいて難しい顔をしながらモクモクとタバコを吹かしていた。吸い終わった彼に続いて真っ白な光の溢れるおもてへ出た時、向こう側からおそらく母親といっしょに父親を待っていたと思われる三才くらいの男の子が、「父ちゃん!」と叫びながら彼の元に駆け寄って来るのが見えた。パパも瞬時にそれに気づいて、「オオ!」と叫んで子どもの方へ走りだし、両手を腕の下に入れて高く抱きあげた。抱きあげられた子どもも、抱き上げたパパも、それを見ていた母親も、みんな優しく笑っていた。神の子たちの笑顔は皆眩しく美しかった。