数年来愛読しているブログを読んで、「”インディアン○○つかない" の空白を埋めよ」のお題に松本人志が『マネージャー』と答えたことを知り、横浜へ息子と買い物に出ていた妻にメールで同じお題を出すと、ものの一分もしないうちに『おぼ』と返ってくる。悔しさに臍を噬みながら10分近くかけて理詰めで捻り出した僕の答えは『手に職』だった。
夜の九時からは週に一度の水泳に出かける。ここ二ヶ月ほど平泳ぎを中心に練習しているが、形も以前に比べるとだいぶ固まってきて良い感じだ。前は「この人汚いフォームで泳いでるな〜」と思う人の平泳ぎに全然追いつけないどころかどんどん突き放されてしまうほどスピードに乗れていなかったのだが(つまり僕の方がよほど汚いフォームだったということだが)、今日はゆっくりクロールで流している女の人と同じくらいのペースで泳ぐことができた。ピアノなんかと同じで水泳も、教科書に書かれた型通りの動きをひたすら反復するよりは、ある程度自由に体の各部の動きを試せる時間を与えられた方が、全体的なコツをつかむには効率が良いように思う。2kmほど泳いで家に帰ると書斎のテレビが点いていて、そこでなんと松っちゃんがコントをやっている。しかも画面の右上には"NHK-G"と出ている。思わず目を疑って何度も確認してみたが間違いないようだ。慌ててリビングに飛んで行って録画をしようとしたら、すでに妻が録っておいてくれていた。僕が泳いでいる間に会社の元同僚から「今日楽しみですね」とメールが来て教えてもらっていたらしい。あの松っちゃんもついにNHK詣でか、と思うと少し複雑な気持ちになった。経営状態の悪化に伴ってここ数年もの凄い勢いで民放のテレビ番組の劣化が進んでいるが、その分まだふところ具合に余裕のありそうなNHKの番組が過剰品質のように感じられることも多くなった。以前はギャラの安さから絶対にNHKの番組に出ていなかったようなタレントの多くが出演するようになり、僕はこれを勝手にタレントの"NHK詣で"と呼んでいたのだが、公務員や特殊法人だけでなく大手企業までもが国からの補助金という形で税金に齧りつこうとしている時流の中で、タレントもまた税金(受信料が人頭税のようなものだとすれば)に群がり始めたのかと思うと、80年代後半〜90年代前半の芸能界をブラウン管越しに見ていた者としては隔世の感があり、またあの頃スターのオーラを帯びて自信に満ちていたタレントの表情が、年を追うにつれ曇りがちになり恥と焦りに塗れてきている様子に少し寂しさを感じていたのだった。そういう目で見ると、大人数のキャストを誇る話題の大河ドラマでさえ、もはやタレントを食わせるための公共事業番組、大河ドラマならぬダムドラマのようにしか見えなくなってきてしまい亡国の念は一層強くなる。松っちゃんがまさか金目当てでNHKに出演したとも思えないけど、その辺りの経緯も含めて明日放送予定の『プロフェッショナル 仕事の流儀』で確認してみたい。