Media Playerでアルバムの枠を取っ払ってランダム再生していると例えばこんな曲に出会うことができる。
Breakdown - Guns N' Roses
カントリー風のイントロから始まってピアノの打鍵によってリズム・セッションを引っ張り入れてくるところなんかいかにも大作志向で作為的だし、最後もよく聞き取れないMCが入ってきて意味不明なんだけど、喉に電極でも入ってるんじゃないかと思うほどのアクセル・ローズの非人格的なボーカルのおかげか不思議と臭くは聞こえない。ピアノによるコードの連打から叩きだされる高速道路の追い越し車線を飛ばしているような疾走感、そこから更に転調で離陸していくところの性的ともいえる浮上感。アルバムで聴いている時は、"Knockin' on Heaven's Door"や有名な"You Could Be Mine"、"Don't Cry"を待っているからどうしてもその他の曲のところでは集中力が切れてしまうところが、3000トラックの中から例えばJackie McLeanの"Sentimental Journey"の後にこれが流れてきたりすると、脳が驚いて買ってきたアルバムの最初の曲を聴く時のテンションにセットされる。自分のコレクションに新鮮味が感じられなくなってる人にはこの聴き方本当におすすめしたいです。
90年前後にBON JOVIとGuns N' Rosesのどちらがロック史的に大きな足跡を残したかというようなことは分からないけど、「苦境の中の恋」をテーマにしたBON JOVIのヒット曲の多くが今聴くと微妙に照れくさいところがあるのに対して、Gunsの曲にはそういうところがあまりない。さっき調べたら自分たちが知っていた頃のメンバーは解雇に継ぐ解雇でもうとっくにアクセルしかいなくなってるらしい。彼の声には自分の体内から噴き出した唾液や体液に感電して析出された結晶の美しさがある。そこに閉じ込められたエネルギーが今でも理不尽に感情の潮位を上げてくれる気がする。
ユーズ・ユア・イリュージョンII