札幌は200万近い人口を抱える大都市だが、空気は比較的澄んでいる。高層ビルが立ち並んでいるものの、道幅が広いから閉塞感もあまり感じない。札幌テレビ塔の展望台に上ると、どの方角もビルの近景の後ろに街区の境界がはっきりと見え、向こうには山地や平原が続いている。そこまでスケールは大きくないが、どこかアメリカの大都市に似た雰囲気。
昼ごろに車を借りて向かった苫小牧のノーザンホースパークで引き馬に乗ることになった。三人分のチケットを買って、いざ跨る段になってから、息子が怖がって乗ることに躊躇している。おとなしそうな馬で危険も少なそうだし、乗ったら必ず満足するだろうから、親としては何とか乗らせてあげたい。妻はどうするのだろうと思って見ていたら、「とりあえず跨ってみな」と言って跨らせ、まだ怖いというので、「動いてみなくちゃ分からないよ、とりあえず進んでみな」とよく考えたら滅茶苦茶な論理で説得してスタートを切らせ、もう戻ってこれない状態にして結局一周回らせてしまった。達成感に満ちた息子の顔を見てうちらもハッピー。
追分町から、道幅の狭い道東自動車道に乗ってしばらくすると、雨が降り始めてあっという間に土砂降りになった。日高山脈の長いトンネルと、トンネル間の豪雨の連続で緊張と疲労が高まり、ああやっぱり自分は車の運転は好きではないと、いじけながら何個目かのトンネルを出たときに、突然雨雲の向こうに抜けて青空が広がった。左方の視界に現れた夕日を受けて輝く十勝岳の美しかったこと。
日暮れと同時に帯広に到着。ラーメン屋を出て空を見上げると、北海道に来て初めて星が見えた。けれどもビールを飲んだ後で、今夜は観望スポットに出かけられないのが恨めしい。この地で星空を見るチャンスもあと一日だ。