最後まで寝ていた床の間で目を覚ますと、こたつの上に城の絵が置かれている。天守が正面から、城郭が上方から数色の色鉛筆の線を使って描かれている。昨日訪れた大阪城に似せた天守は自由帳の紙面の中に堂々と居場所を占めて、一枚の紙の中に上から下へと重力が働いているようだ。
朝のうちに甥が遊びに来てくれる。大喜びした息子は、タブレットで早速『マインクラフト』というゲームや将棋のゲームを見せてもらっている。昼前にはみんなでバドミントンをするために外へ出た。敷地の中に倉庫があり、去年末に退職したお母さんが余った時間に整理しているとは聞いていたが、中が驚くほどきれいになっていた。風の影響がないのでその中が絶好のコートになった。ルールを決めて妻や甥とバドミントンをした。上手くできないことに対して奥手な姿勢をとっている息子を見て、甥が手ほどきをしてくれる。子を見れば親がわかると言う。彼の父親とはしばらく会っていないし、今更会っても何の話があるわけではないと思うが、つまりはそういうことなんだろう。もちろんこれ一つをとって言うのではなく、やさしい子だと思う。
夕方にみんなで風呂屋に行き、小六の甥の下腹部のタオルを「ちんこ〜」と言いながら剥がそうとして「はいはい、勝手にして」と大人っぽくいなされる小一の息子など、簡単に書くと僕の目に映ったのはこんな一日だった。別の人物の目に映った話は、その後も和歌山に残った妻から後日聞かされた。
「はーちゃん、まゆちゃんとバドミントンやってるときめっちゃ楽しそうやったわ。仲ええなあ〜。俺とやってるときと全然ちがうんやもん。ええよなあ〜」
天使は人の数と同じだけいる。