青空文庫で『或阿呆の一生』を眺めているときにのぞき込んできた妻が「この前読んでた『阿Q正伝』の阿Qとどっちがアホなん?」と聞いてくる。どうも話が合わないと思っていたら、彼女は魯迅の『阿Q正伝』とか、ダウンタウンのアホアホマンとかそういうものをイメージしていたらしい。それで慣れない筆で作り出した阿呆キャラがスベってるから僕が不平を言っていると。
「ちがうよ、ガチマジの遺書で『或天才の一生』とでもするところを、それだとカッコ悪いから衒ってるんだよ」
「え、サブっ」
「遺書だから暗いんだけど、その一言いるかぁ?ってのも多いし、愛人がどうしても美人だってことにしたがってるしで、とにかく笑えるところがないんよ」
ポポビッチも言ってたもんね、ユーモアのある人しか取らないって」
鬼軍曹で知られるポポビッチ監督、厳しい采配と過酷なシーズンを乗り切るために選手に求める条件としてそういえばそんなことを挙げていた。