卒園式は、本番の式のあとに一時間の休憩があり、そのあとに茶話会という流れ。けれど子ども達や先生、お母さんたちが秘蔵の出し物を披露したりする茶話会は、会場のスペースの都合で原則父親たちは参加禁止。茶話会に出られない父親たちはどうするんだろうか。みんなで集まって外で食事でもするのかな、だとしたら顔を出してみたいな、と何となく気にしながら、前日に慌てて現像した写真を親たちに配ったり、ついでの立ち話などをしているうちにあれよあれよと一時間がたって、気づけば父親たちはぽつぽつと帰り始めた。その時点でお世話になった何人かの先生への挨拶がまだ済んでいないと思い出し、それが終わった頃には残った父親はたったの二人。二人とも車を持っていて、バス登園の僕とは道が違っていたのだけど、このまま一人でバス停へ向かうのも空しいと思って、二人と同じ道を歩き始める。あたふたとした会話。あっという間にやってくる分かれ道。「また会えると思うんで」、「お元気で」。バスに乗って駅に着き、電車の座席に座ったときに無性に寂しさに襲われた。行きたければ自分で誘えば良かったじゃないか。でもよく頑張った方だよ、あれだけの人に挨拶は済ませたんだから、この人見知りの性格で。それでもやっぱり、自分が行きたいときは自分から言わないとダメだ。息子の卒園式の帰りに、なんでオレはこんな自分語りをしてるんだ、って我に返ったときさらにどっと疲れが来た。