NBAファイナルが始まった。
少し前に、50-40-90(フィールドゴール成功率-スリーポイント成功率-フリースロー成功率)を3度記録した名シューターでもあったスティーブ・ナッシュが、ウォリアーズのステフィン・カリーを「史上最高のシューター」と呼んだというニュースが話題になっていた。レジー・ミラーは去年末の時点で同じことを言っていたけど、286本のスリーポイント成功数の記録とともにMVPまで取ってしまった今シーズンも終盤になって、数々のシューターを見てきた識者たちの評価も大方固まったようだ。アレン・アイバーソンが「カリーと(カイリー)アービングのボールハンドリングは過去の自分より上」と認めたように、シュート力だけでなく、細かいドリブルやクロスオーバー、ステップバックが一体になったスキルセットから一瞬の隙を作り出して、異常にクイックなモーションでスリーを放り込んでくるプレースタイルには雑技団のびっくり人間的な楽しさがある。
「ディフェンスが王座を獲る」と言われた10年前から時代は進んで、ここ数年は多彩なオフェンス戦術のないチームは、個の力を揃えてもプレーオフで勝てなくなってきた。とりわけスリーポイントの占める比重が目に見えて上がっていて、2人のガードとスモールフォワードが全員スリーを決められる選手であることと、彼らにフリーなスペースを生むための五角形のパス回しは必須のプレーメークになりつつある。同時に、ドライブとジャンプシュートを主体としたかつての花形のプレースタイルは急速に優位性を失った。そんな趨勢の中、相も変らぬロールプレーヤー集団を肩に乗せ孤軍奮闘、5年連続のファイナル出場を決めたレブロンもまた見事。
トイレに置いてある選手名鑑を、息子はいつのまにか朝のうんちタイムに読み込んでいて、選手の顔やチームのユニフォームが分かるようになってきた。そこで今年は彼の幼稚園からの帰りを待って、録画で試合を見ることになった。今日の試合はオーバータイムにもつれ込んだ末、応援していたウォリアーズの先勝。終盤の攻勢に一人歓声を上げていて気づかなかったのだけど、息子は妻のかげで「レブロン、レブロン」とか細い声でつぶやいていたらしい。「勝負弱い」、「甘い」と批判されることもあるレブロンの穏やかな佇まいには、同じくのんびりした性格の子どもを引きつける魅力があって、彼なりに親近感を感じているのかもしれない。アービングが故障し、形勢は早くも第1戦の結果でほぼ決してしまったけれど、第2戦からは応援チームを変えることにした。
頑張れ!ひとりっ子の星、レブロン・ジェームズ