朝の六時に起きると、部屋がシンと冷えている。外は雪。大きな粒になってしきりに降っているけど、水気が多いのか、ベランダの地面に触れるや溶けてしまう。それでも家々の屋根はうっすらとみぞれに覆われて一応の雪景色。眠たそうにしていた息子に「雪だよ」と声をかけると起き上がって、窓のそばへ駆けていく。そこで僕の方から窓を開け、一足のサンダルを履き、振り返ると久しぶりの抱っこができた。ベランダには子ども用のサンダルを置かないという数ヶ月来の画策が功を奏した瞬間だった。男の子としての矜持を持ち始めた息子に、生きているうちにあと何度できるだろうか。それとも、彼も同じことを考えてくれていたのかな?