大きな船を見るために波止場へ行った。
見上げたお前の目にそれがどう映っているか分からないから、
後ろ姿だけ写真をとった。

波止場の袂ではドレスとタキシードを着て踊る若者たち。
「お父さんが得意だった社交ダンス」と、
息子の手を取り走りだす彼女の後ろ姿の写真をとった。

眠る二人の横で目を開け、天井を見る。
こらえきれず、今すぐにでも波止場へ飛んで行きたい。
その夜、見たのは初恋の夢だった。