朝、耳元で。
「父ちゃん、父ちゃん。プレゼントあるよ。
昨日父ちゃんがボランティアに行ったあとに作ったの。どうしてボランティアに行ったあとに作ったのかわかる?
そうじゃないと、おどろかなくなるでしょ?」
そうだね、と手渡された袋を開けると、巻物になった二月のカレンダー、13の数字を囲むように「とうちゃんおたんじょうびおめでとう」の言葉、水色の下地に折り紙と色鉛筆で描いた雪だるま。
文字は母ちゃんの代筆によるものの、デザイン、コンセプトは息子の発案だと。カレンダーの上の方にホチキスで穴をあけて、巻物を縛っていたリボンを結びつけて部屋の壁に掛けてみる。椅子に座って眺めながら、この子にとってプレゼントは、有る無しで驚かせるものではなかったのだと、合点がいった。