お母さんの家には、大晦日まで妻の妹さん家族が駆け付けてくれていたそうだ。
さて、元日。
エリクソンの発達論の面白さは、乳児期には愛情が、学童期には勤勉性 (industry) の獲得が大切といった発達段階ごとの課題を同定しただけでなく、それらの課題同士の関係性をマトリックス状に明らかにしたところにある。例えば、乳児期における基本的信頼という課題の成否は、青年期における時間的展望という課題の成否と密接に関係している。一見したところ社会における水平的な人間関係に絡むと思われる信頼というファクターが、二十年経って個人の内面的な時間軸に作用してくるというところにこの理論の面白さ(非自明性)がある。基本的信頼とは、単なる対人的信頼を超えた、養育者を通して見た世界そのものへの信頼であり、時間の流れを含む世界の在り方の真実性への理解である、というのがその説明である。
そんな理屈はさておき、一年の計は元旦にありなどとといって新しい年の展開に思いを馳せた人は、そのような夢想を可能にするだけの最低限の愛情を注いでくれた親に、そのことだけでも感謝して良いかもしれない。