ケツにできたおできがでかくなったので病院へ行った。パンツを下ろして現れたブツを見た医者は「切開だね」と言い、ベッドにうつ伏せに寝かせた。そして、衣服が擦れるだけでとび上がるほどの痛みを発していた患部に向かって、麻酔と称して20発近く注射針を打ち込んだ。間髪入れずに(麻酔が効いてくる時間を待つことなく)、万力のような男の握力でケツをぐいぐい押し始める。込めた力が余って医者の口からはレスラーのようなうめき声が漏れ出てくるほどだ。そんな力技を治療と信じて、枕に顔を埋めながら体を動かさないように必死に耐えていたのだが、常軌を逸する痛みに我を忘れ、自由になる足だけをバタバタと、泣きじゃくる赤子のようにベッドに打ちつけてしまった。看護婦と医者がその動きを見て、「この人暴れてるわよ」、「男の人は痛みに弱いから」などと言いながら苦笑していたという話を、身振り手振りを交えて妻に話したら、妻もまた堪らないというようにサディスティックな笑みを浮かべたものだから、この人もやはり相当なSだという話。
しかし麻酔というものはもう何回も経験しているが、どんな麻酔でも10秒もすれば皮膚感覚はなくなったものだ。今回のは帰宅する時になっても皮膚感覚はばっちりだった。あんな麻酔があるのだろうか?