寝床に持っていくおもちゃは一つだけと決まっているのだが、いつもおもちゃを選ばなければいけない段になると、あれもこれもという葛藤の前に泣きだしてしまう我が息子。今日もカエルのぴょんぴょん人形と、お気に入りのオレンジ電車のうちの一つがどうしても選べなくて泣いてしまった。それでもものの一分で気を取り直し、「まっくら!」と訴える。抱っこして真っ暗なベランダへ出て、お星さまや教会の光を見て寝んねの時間が来たことを確認する儀式で、今日は航空灯を瞬かせながら夜空を飛ぶ飛行機や、教会の光がいつもより少ないことを教えてくれた。寝床に戻って来ると、今気付いたように目に手をあてて「めんめ、みず」と言う。「目から水が出たね。涙って言うんだよ」と言うと、まだ濡れた目を触りながら、初めて聞くその言葉を確かめるように、「なみだ!」と言って満面の笑顔を見せて笑った。