僕らが結婚してからずっと不器用な性格のおばあちゃんの話し相手になってくれていて、訃報に接して悲しんでいた妻だったが、食事会が妻の一番苦手な食べ物であるキノコの専門料理店で行われ(妻はスーパーの売り場に積まれたキノコ類を「群生している」と表現するなど、キノコを食べ物として認めていない)、前菜からサラダ、メインディッシュのから揚げ、鉄板焼き、鍋の具材、スープの中味、炊き込みご飯、デザートまですべてキノコが使われており、店内の装飾も、時計、ランプシェードから箸置きまですべてキノコで、しかもみんながおいしいおいしいと言いながら喉を鳴らしている中、キノコ嫌いの私でもこんなにおいしく食べられます、とでも言ってしまいそうなプレッシャーがなくもない雰囲気で会が行われていたことを告げると、人生初のキノコ蕁麻疹が出るとこやったと、行けなかったことに納得し、気を取り直していた。