友人の子どもの誕生祝いにベビー服でも買っていこうかと軽く考えてデパートに立ち寄った。が、いったいどんな需要がこれだけの種類と量を生み出してるのかと思うほど、そこかしこに陳列されたベビー服の乱舞に唖然。メーカーも知らないし判断基準ないし選べるわけがない。
咄嗟に母親に電話して相談したら、同じデパートに店を構える銀食器の店と、スプーンにまつわる風習を教えてくれた(後で調べたら17世紀のイギリスで12使徒を刻んだapostle spoonを名づけ親が洗礼祝いに贈ったものらしい)。むむ、何も知らないような顔をしてさすが。王冠の柄のも嫌味だったので、父親の体格を考慮して可愛いクマちゃんの柄のやつにした。
土曜。宵の明星が基地の空を紫色に染めて、妖しいほどの夕べだった。体躯は横に捩れているが、オレはまだ前進している。そう思った。
――あゝ、北極の花、海の絹(いづれこの世にないけれど)、その上に血を滴らす生肉の天幕。
優しさよ。
炭火は、突風に氷花を交へて雨と降る。――優しさよ。

Rimbaud
Illuminations (1874): "Barbare"