ダービーレコードが2.23.3の時代だからいつかは破られると思っていたが、あのレコードがついに塗り替えられてしまった。勝った馬も、最後に3cmだけ残した騎手も、今まで外しか周れなかった馬に縫うような進路を取らせて馬群を割らせた騎手もみな素晴らしかったが、こと勝ち時計の絶対的な評価に関しては、今日の朝刊に踊った文言(『驚異の世界レコード』云々)がふさわしいものではなかった。
馬場を去年と今年で比べてみると、今年のほうがマイルのタイムで約1.5秒早かったし、タップダンスシチーが刻んだ前傾レース・ラップは、約0.5秒のアドバンテージを生んでいた。これを2400mに換算すると、単純計算で(1.5 + 0.5) * 2400 / 1600 = 3.0秒。去年と今年のタイム差が2.1秒あったのだが、これからこの3.0秒を引くと、0.9秒、今年のほうが遅かった計算になる。
よく考えてみるとここ数年の主役級のタップダンスシチーゼンノロブロイが年を重ねてパフォーマンスを落としていくなか中長距離の面子は去年からほとんど変わっていない。勝った外国馬もこれまでGIを1勝しかしていなかった馬。ディープインパクトが出走していたならいざ知らず、この程度のメンバーのパフォーマンスで16年前のレースを格下げする必要は全くない。東京2400mの馬柱の片隅で中堅ファンをいつも微妙に誇らくさせていた"ホーリックス2.22.2"の文字をもう見ることができない、オッサン競馬ファンの負け惜しみのようだが…。