家で手持ち無沙汰をしているようだったので、ペットショップ脇のカフェでソフトクリームでも、と提案したら断られてしまった。
初めは行くと言っていたのに、時間が迫ると気が乗らなくなってきて、昨日自転車で転んだ傷があるからと言い出した。
まだ痛むから?友だちに見られるから?
最終的には、友だちと野球をやって来ると別の理由を作って出て行ったから、要するにそういうことなのだと思った。
日差しの強い一日だった。カフェのテラスに置かれた椅子もテーブルも、夏の日を浴びてギラギラと輝いていた。椅子を同じ方向に寄せて、わずかに残った日陰に腰を下ろして妻とソフトクリームを食べた。
「もうソフトクリームでは釣れなくなったね」
夜、お互いにプレゼントし合った二十年前の時計を出してきて二人で眺めた。家族が総出でついてきてくれたジュネーヴの時計店のことも思い出していたんだよ。