幼稚園の駐車場に車がとまると何やらソワソワ。先週、ピアノの先生から聞いた生まれたての雛のこと。なぜだかわからないけど母鳥が雛の世話をしないらしく、先生方が卵の白身に砂糖か何かを溶かした液を代わる代わるスポイトであげたりしているという話だった。本来母鳥の餌の与え方はくちばしを使って雛鳥の喉の奥に送り込むという絶妙なものらしく、その真似をするのは難しいとも聞いていた。口には出さないままずっと気になっていたのかもしれない。
我先にと畑を横切って先生の元に向かい、息せき切って母ちゃんのところに戻ってきた。
「雛鳥死亡!」
変に気取った、おちゃらけた調子でそう報告した。