映画『伊豆の踊子』が想像以上に下らなかった。山口百恵を可愛いと思わせたのも一瞬で、あとは目を引くストーリー展開もなく原作者の甘え切った感傷をなぞるのみ。生涯女にだらしのなかった下半身作家としても、永井荷風にあったような開き直ったボケ切り芸や、女の心理の緻密な観察もなく、姑息な自己正当化があるだけで面白みがない。妻も言っていたが、原作者の川端康成が、旅芸人という職業を徹底的に見下した上でそこから慰安を得るという典型的なオリエンタリズムの構図だから仕方がない。有名な風呂場のシーンで百恵が乳を出してくれればまだ価値はあった。