風の強い一日。飼い猫だったらしき猫が、家の前の茂みをひもじそうに歩いている。日が落ちてから急に寒くなる。
話題になっている投票マッチングというのを試してみた。妻と一緒に練りに練って回答を変えてやってみたのだが、何度やっても「あなたに一番近い政党は『社会民主党』です。」となって萎え萎え萎え萎え(妻は一回は『日本共産党』と出た)。「日米同盟は維持すべきである。」に対しては「賛成」、「最低賃金を一律1000円に引き上げるべきである。」には「やや反対」、「尖閣諸島の実効支配を強化すべきである。」「外国人にも参政権を認めるべきである。」に対しては「中立」としているにも関わらずである。僕は、次に政権につく与党には今度こそ統治機構の改革を実現してもらいたいと思っている。行政・執行機関の規模を縮小し、権限を弱め、規制を緩めることで、時代に合った産業構造の転換を容易にし、lobbyingや世論操作に腐心して既得権に居座る旧時代のestablishmentから、entrepreneurshipに溢れた個人・企業への富の移転が起こることを、些か理想主義的とは知りつつ思い描いている。小さくかつ透明性のある政府の下での公平で自由な競争。この公平性を確保するために、最低限高校卒業時までの機会均等は保証してほしいと思っている。
ところが、このサイトに用意された質問には「統治機構の改革」に関するものが、「郵政民営化」や「道州制」など数える程しか挙げられていない。小さな政府とは、収入も支出も少ない政府ということだ。だから「消費税を増税すべきである。」には「やや反対」になるし、「大規模な公共事業は継続すべきである。」にも「反対」となる。ただそれは政府に握られた財布を小さくするという文脈での話で、成功した個人・企業からの税金を原資とした政府の大きな財布を当てにして「強い者から弱い者へ」という権力の温情主義的な裁量に頼る社会民主主義的理想とは、方向がかなり違っている。
現在候補者たちによって謳われている議論の争点が簡潔にまとまっていて、ネットの技術も活かされた良いサイトだとは思うけど、それだけに、耳目を引くスローガンや数値目標を羅列したマニフェスト型選挙のもつ制約もよく表しているのではないか。政治的な理想は、様々な検定によって候補を絞り物質を同定していく有機化学的手法とはあまり馴染まないもので、あくまで物語や構造(フレームワーク)として語られるべきではないか、ということ。
妻経由で僕宛てに素敵なメールをいただいた。僕もあんな人間になりたいな。