夜、息子とおやすみをしてから妻が寝たふりをして彼が寝るのを待っていたら、ごそごそとおもちゃ箱を開け始め、奥から積み木を載せるための薄いビニール製のシートを取り出して自分の寝床によちよちと持っていき、それを掛け布団に見立ててねんねしようとしていたらしい。これまでは布団を掛けても足で蹴ってしまっていたし、まだそれほど寒くはないからと、妻としては長袖と長ズボンで保温しようとしていたのだが、母ちゃんがいつも体の上に掛けているその柔らかそうなものが突然欲しくなったのか、ぼく用のものはないかと自分なりに考えて工夫をしてみたのだろう。すぐに押入れから、甥っ子に貰った赤ちゃん用の掛け布団を探し出して掛けてあげると、にっこりと月のように笑って満足げに眠りに着いたそうな。
まだ一言も言葉を話さない息子。彼は、物言わぬ赤ん坊がすでに一つの完全な魂であることを生まれたその日から僕らに教えてくれている。