心身問題から

精神は考える。物は考えない。物には大きさがある。精神に大きさはない。二つの性質はまったく逆である。しかし一方で、精神は物(身体)を動かすことができるし、物は精神を動揺させる。
思想の世界で最も古い難問の一つである心身問題を解決する試みの中で、17世紀の夜空を走った二つの閃光、すなわち、「哲学者の中で最も良い(頭の悪い?)人間であった」スピノザと、「最も頭の良い(性格の悪い?)人間であった(ゲーデルによる)」ライプニッツが登場する。二人はスピノザの晩年、ハーグで実際に邂逅してもいる。この時(頭の悪い)スピノザの『エチカ』の草稿を目にした頭の良い(性格の悪い)ライプニッツは「スピノザの哲学の欠陥が私にはたちどころに知れた」と、後日しっかり悪口を書き残している。