金曜の夜。テレビをつけ、チップスターを口に運びながら、妻とささいな話をした。
今日、区の公会堂で地域の学校から小学生が集って音楽会が行われたらしく、息子がそこから持ちかえってきたという土産話。
ステージに上がったら客席の中に幼稚園の旧友が七人も見つかった、J君はステージから手を振ってくれた、他の小学校の合唱を聞いたR君が感動のあまり涙を流しながらも「ヘンな名前の学校のくせに」と毒づいていた、等々。
寝る前は、布団の上に幼稚園のアルバムを広げてせわしくページをめくっていたって。「こいつは云々、あいつは云々」。乱暴な言葉遣いは、きっとよみがえった思い出の温かさの裏返し。
ふと見ると、機嫌よく話していた妻の襟元からチップスターの破片がボロボロとこぼれ落ちていてそれを咎めた僕に対して妻が言い返した言葉がふるっていた。
「ハトが来たら食べてくれるさ」
何て甘い言葉だろう、自分にも人にも動物にも。そんな風に命と接していけたら。