今日は、幼稚園でサッカー教室を見届けてから妻のいる病院に向かう。
2時半に始まったサッカー教室。妻の代わりに僕が見るのは二度目だ。一度目も確か妻は病院にいて、そのときはただの通院だったのだが急に気分が悪くなって急遽僕が行くことになったんだった。
年中チーム対年長チームの試合。ゴールポスト付近で味方のメンバーに向かって「年長を殺せ!」と叫んでいる年中の男の子がいる。名前はK君と言うらしく、もしかして、と思って妻にメールを送ったら、やっぱりお遊戯会のタンバリンの子だった。年長にボールを奪われたり、向こう寄りの判定が出たりすると顔をくちゃくちゃにしてお母さんに駆け寄ってくる。コーチも他の園児たちも受け流しているから練習の進行に支障はないけど、お母さんはその都度切なる気持ちを受け止めないといけないから大変だ。「なかなかの子やねん」と妻からのメール。お母さんはうちらより年上で、十年以上待ちわびてやっと授かった子なんだって。息子はボールのカットもドリブルも絶好調。三試合で七ゴールくらい奪っとった。
練習後、実家から借りた車に乗って沈む夕日を右に見ながら病院へ向かう。後席で息子がつぶやいた「あぁ、母ちゃんに会うの楽しみだわ〜」という言葉。これが、二年前かな、久しぶりにお父さんに会えるという法事の日の朝に甥と二人で銭湯へ行って、そこで甥が言った言い方とそっくりで。最初は遺伝的に声帯の形が似ているからなのかと思っていたけど、そういうことでもないんだろう。子どもが親に会いたいと素朴に思う気持ちの成分が世界共通で、それが空気中に発せられたときに、デジャヴュのように同じ旋律を引き起こすのだろう。