帰省している一才になる甥っ子を見に実家へ行く。大人の言うことの85%は理解できるようになっていたあの頃。自分の足で立ち、世界に等身大の目線を向けながら逍遥していく気持ちの全てを受け止めて、妻は、世界がさらにもう一段だけ面白く感じられるようになる言葉を息子に投げかけていた。夕食の支度時、台所の柵の中から言葉だけで息子の相手をしていた掛け合いの術は傍から見てすでに達人だった。