NBAプレーオフ東カンファレンス準決勝は、オニールが第3戦に続いて第4戦も欠場した。右太ももの打撲症と公表されているが、一週間以上も回復しないことから重症なのではとの憶測も呼んでいる。オニールの生涯で最初のプレーオフ欠場になった第3戦は、同期デビューで以前はオニールのライバルでもあったモーニングが代打先発、14pts、13rebの奮闘で見事に穴を埋めてみせた。このモーニング、昔はオールスターの常連手でディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたことがあり、自分も高校生の時、彼のブロックショットの写真を机に貼っていたこともあるが、腎臓疾患で数度にわたる手術をやってからはすっかりと影が薄くなってしまっていた。このプレーオフに出てきたのを見て、まだ引退してなかったの?と驚いた人もいたはずだ。実際、今回の復帰は、もう何度目かの引退からの復帰でもある。腎臓移植を受けた35才の先発は、体に応えないはずはないし、もうジャンプもあまりできないので、ブロックショットに飛んでそれがゴールテンディングにカウントされてしまうことも度々だったが、そこは炎の男、そんなミスも、その都度自分への叱咤の雄たけびと激昂によってチームへの闘魂注入へと変えてしまったと言う。まさに闘魂、炎の男である。
だが今年のヒートを牽引している力は、老兵の奮闘ばかりではない。モーニングが0ptsに終わった第4戦で、ウェイドが3Qに22pts、42点の活躍で、ウィザーズを力ずくでスイープして見せた。正直、東で1位の成績だったヒートも、プレーオフに入ってからの戦いぶりは、オニールの不振が主因となって、試合終盤まで接戦続き、相手を威圧するほどの強さを感じさせることができないでいる。にもかかわらず、ここまで無敗で勝ち上がっているチームもヒートだけなのである。そ
の原動力になってきたのは、ひとえにこの若武者の獅子奮迅ぶりだといえるだろう。ヘッドコーチ、ヴァン・ガンディーは第3戦の後、こう言っている。「病んでいるのはオニールやモーニングばかりではない。4Qでベンチに引き上げてきたウェイドは、心臓が止まって死にそうだった。」デビュー2年目、23才のウェイドはオニールの傷を癒し、モーニングの疲労を回復させるための十分な休養期間を確保するために、一戦も落とさない覚悟で戦っているのである。才能はあっても、これほど強靭な意志とハートも兼ね備えている若手のNBAへの登場は久しぶりかもしれない。
無敵を誇ったオニールのキャリアが、思ったよりも早く訪れようとしていること。誰もが忘れていた老兵のチャンピオンシップへの想い。そして真正のスター誕生の予感。6月まで、今年のヒートからは目が離せそうにない。

老兵、炎のダンク
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ブロックショット
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ウェイドに闘魂を注入するモーニング(「おっさん、オレ疲れてんねん…」)
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